2016年4月8日金曜日

大腸憩室止血法

うー、また来やがった、大腸憩室出血が。今月2人目で昨年12月から毎月2、3人ずつ憩室出血患者が来ている。こんなに憩室出血が多いことはこれまでなかった。もうそろそろ下火になるかと思いきや全然だ。

今回は輸液を多めにしかも早く滴下させた。これはわざと再出血をさせるためだ。そんなの怖くてやれないというDrもいるかもしれない。しかし憩室出血をたくさん診てきた私はリスクを冒してでもやる価値があると思った。

憩室出血は大腸内視鏡で出血部位を特定できるかできないかが勝負の分かれ目で、見つかればクリップや結紮ゴムでほぼ止血できるが、そうでないと絶食点滴で自然止血を待つことになる。自然止血はもしかすると再出血してあたふたする羽目になる。これまでの経験上、大腸内視鏡をするならその間再出血してくれたほうが出血部位特定でき処置がしやすいのだ。今日の患者は以前も出血歴がありその時は出血源不明で退院になっていた。今回は絶対見つけてやるぜ。

大腸内を観察していくと直腸からS状結腸、下行結腸と血液が管内にこびりついていて出血源はやはり分からない。
上行結腸にまで血はあり、盲腸に来ると普通便で血が付いていなかった。ふむ。出血源はほぼ上行結腸だ。それで副送水管から水洗浄して憩室を1個1個洗い探していくが露出血管や出血憩室は見つからない。点滴滴下スピードを上げるよう指示し何度か上行結腸を行ったり来たりしていると・・「あっ!」と声が出た。盲腸に近い部位のごくごく小さい憩室から出血があった。「こいつが犯人かぁ」とつぶやくと付き添いの病棟看護師が「はんにん?」と吹き出した。「そう、まさしく犯人。こいつを見つけるか見つけないかで違ってくるんだよ」


この後はクリップで目印を付け、最近よくやっているEBL(内視鏡室的結紮ゴムバンド止血法)でばっちり止血しほっとすることが出来た。
縛り上げて強引に憩室もろとも壊死させ最終的には瘢痕化させる。これが決まれば二度と再発もない。ふふ、最近は勝率がいい。また来やがれっ!
(↓が3日後の壊死した憩室。まだゴムバンドは残っているがいずれ脱落する)

入院指示などすべて終わったのは19時過ぎで、串木野のボウリングトリオリーグにもどうにか間に合った。ただ出来は散々だったがー。(海広しDrのピンチヒッターのタシケントMRに特に1ゲーム目は助けられたよ)

追記:現在4月15日。休みだったが病院から電話あり。また大腸憩室出血だと。実は今月2人いたうちのもう1人で2回内視鏡検索するも出血源見つからず自然止血でこの間退院したばかりだった。今から病院行って今度こそ止血しちゃるぞ!

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